パソコンが起動しないときにメーカーやパソコンに詳しい人から「バイオス(又はユーイーエフアイ。以下同じ。)は起動しますか」と聞かれることがあります。
突然、そんなことを言われても「そもそもバイオスって何?」ってなりますよね。
ここではそんなバイオス(以後、BIOS(又はUEFI。以下同じ。))について役割や起動しない時の対処法をまとめました。
- BIOSは何にどう役立っているのか
- BIOSが起動しない原因究明は難しい
- 起動しない時の対処法はマザーボード周りが多い
この辺りを解説していきます。
BIOSのトラブルを解決したい人はきっと参考になるかと思います。
BIOSとはいったい何なのか
まずはBIOSとは何なのかという所から解説していきます。
BIOSとは「Basic Input Output System」の略称で、パソコンのデバイス(キーボードや画面など)を制御するためのプログラムになります。
BIOSはパソコンに標準搭載されており初期設定の段階で適切な設定になっています。
パソコンが正常に起動しているのであればBIOSを意識する必要はありません。
なお、BIOSの後継でUEFIというものがあります。
UEFIとは「Unified Extensible Firmware Interface」の頭文字を取った略字で、コンピュータ内にある各装置を制御するプラットフォームファームウェアとOS間で通信仕様を定めた規約を指します。
仕様はUEFIフォーラムによって規格化を行っています。読み方は、アルファベットをそのまま「ユーイーエフアイ」と読みます。
BIOSのパソコンにおける役割
このBIOSは上で少し触れたようにパソコンの各デバイスを制御するために存在します。
- 各デバイスの正常性診断、起動テスト(POST)
- 起動するデバイス(HDDやUSBメモリ、光学ドライブなど)の優先順位を決定する
- 各デバイスの有効、無効
- 日時設定
上記以外にもBIOSの種類によっては様々な機能がありますがここでは割愛します。
したがってBIOSは各デバイスのつなぎ役となり、パソコンを「ただの箱」にしないための最重要プログラムとして大きな役割を担っています。
BIOS の種類と設定画面の名称
BIOS と一言で言っても、その種類は意外とたくさんあります。
パソコンのマザーボードによって、使用される BIOS のメーカーが異なるためです。
Dellなどのパソコンメーカー独自の BIOS や、マザーボードメーカー独自の BIOS がありますし、製造時期によりバージョンが異なって、表示内容や機能が違っています。
以下に、代表的なBIOS メーカーと BIOS 設定画面の表示名を紹介します。
BIOS メーカーと BIOS 設定画面の表示名の例
- American Megatrends Inc.(AMI)
「Aptio Setup Utility」
「Aptio セットアップユーティリティ」 - Insyde Software
「InsydeH20 Setup Utility」
「InsydeH20 セットアップユーティリティ」 - Phoenix Technologies
「Phoenix SecureCore Tiano セットアップユーティリティ」
「Phoenix TrustedCore(tm)Setup Utility」
「PhoenixBIOS Setup Utility」
「Phoenix AwardBIOS」
※ Award Software は、Phoenix Technologies に買収されました。
この他にも、「NEC Setup Utility」や「Dell Inc.」など、パソコンメーカー独自の BIOS 設定画面もあります。
また、ASUS、GIGABYTE、MSI、ASRock などのマザーボードメーカ独自の BIOS(UEFI)があります。
RAID カード用 BIOS は、[F2] とは別のキーを押下して起動するものがあります。
- LSI MegaRAID BIOS
「Ctrl」+「R」 - WebBIOS
「Ctrl」+「H」 - Intel RAID BIOS
「Ctrl」+「G」 or 「Ctrl」+「R」

InsydeH20 BIOS

Phoenix BIOS
Surface UEFI
ASUS UEFI BIOS 設定画面
BIOSが起動しない原因とは
BIOSが起動しない原因はおおよそ3つのパターンが考えられます。
- グラフィックボードやメモリの不具合、または接触不良
- CPUやGPU(グラフィックチップ)、BIOSロムなどマザーボード上の不具合
- BIOSプログラム更新失敗などによるBIOSプログラムの不具合
主にこの3つのどれかが原因になってBIOSが正常動作せず、パソコンが起動しないこととなります。
もちろん、パソコンが正常起動しない原因として、HDD故障やOS不具合も考えられますが、BIOSが原因なのか、それとも別の原因なのかを判別する簡単な方法としては「画面に何か表示されるかどうか」が判断基準となります。
電源は入るけど画面に何も表示されない場合はBIOS不具合の可能性が高くなり、逆にメーカーロゴや何らかの文字が表示される場合はBIOS以外の部分に不具合を抱えている可能性があります。
BIOSが起動しない時の対処法
BIOSが起動しない時の対処法は大きく分けて3つあります。
- パソコンの完全放電
- メモリ周りをしっかり掃除する
- BIOSのリセット
この3つです。
先ほども触れたようにやる時はいっぺんにやらず1つずつ対処していくようにしましょう。
これらで回復しない場合はマザーボード上の不具合の可能性が考えられます。
パソコンの完全放電
まずはパソコンの完全放電です。
これはパソコン内の電子回路が何らかの原因により、閉塞してしまい、正常に電気が流れないことがあります。
主な原因は、電子部品の経年劣化が考えられますが、電源ケーブル(ノートパソコンの場合はバッテリーも)を外した状態で10分程度放置することによりパソコン内部の電気が放電されます。
その後、ケーブルやバッテリーを取り付けて電源投入をすると正常に起動する場合があります
メモリ周りをしっかり掃除する
2つ目はメモリ周りをしっかり掃除することです。
ホコリが溜っているとその汚れが原因でBIOSが起動しなくなることがあります。
メモリはCPUの近くにあり冷却FANの影響でホコリが集まりやすく、よくある原因の1つになっています。
掃除といってもメモリが装着されたままやるのではなくメモリをマザーボードから取り外し、エアダスターや掃除機のブラシを利用してしっかり取り除きましょう。
メモリの接触不良もよくある原因なので掃除した後はしっかり差し込んで起動しましょう。
【注意!】
パソコン内部の掃除をする場合は必ず電源ケーブルを抜いた状態で作業をしてください。
BIOSのリセット
3つ目はBIOSのリセットです。
BIOSで記憶している設定はマザーボードに取り付けてあるボタン電池を取り外すことによりリセットされます。
※BIOSのアップデートに失敗した場合はボタン電池取り外しによるリセットでは回復しません。
【注意!】
上述のとおり、BIOSの設定はボタン電池のおかげで記憶されています。ボタン電池を取り外すことによりすべての情報がリセットされるため、RAID(レイド)と呼ばれる特殊なハードディスク構成やデータ漏えいを防ぐための暗号化情報もリセットされるため、ご注意ください。
お使いのパソコンがどういった構成になっているか不明な場合、BIOSリセットはしないでください。
上記の対処法で回復しない場合は、マザーボード上の不具合の可能性が考えられます。
【まとめ】BIOSが起動しない原因は、ハードウェア不具合の可能性が高い
- BIOSは各デバイスを制御するためのプログラムである
- BIOSが起動しない原因は電池やメモリ、CPUやBIOSロムなどマザーボード上の不具合の可能性やBIOSプログラム不具合の可能性がある
- BIOSが起動しない時は電池交換やメモリ周りの掃除をすべし
ここまでの解説をまとめるとこうなります。
BIOSについて、その故障の原因や対策が何となく理解できたでしょうか。
BIOSはパソコン起動に大切なプログラムなのですが、あまり一般的に知られることはありません。
その分情報も少なく、対処も難しいのでわからなければ専門業者に任せるのがベストな選択となります。
BIOSに関するトラブルでお困りの際は、お気軽にパソコンドック24へお問い合わせください。