おはようございます。こんにちは。こんばんは。
パソコンドック24 豊田店 です。
当店では、日々さまざまな記憶媒体（ストレージ）からのデータ復旧のご依頼を頂戴しております。
ハードディスク（HDD）は、パソコンや外付けストレージに多く採用されている記録装置です。
しかし、経年劣化や衝撃、電源トラブルなどによって故障し、データにアクセスできなくなることがあります。
今回は、当店で実際にご依頼いただいたHDDデータ復旧の事例をもとに、「復旧できたケース」「復旧できなかった（断念された）ケース」をそれぞれ紹介し、原因と対処のポイントを解説します。
復旧できたケース
ケース1：認識しない外付けHDD（通電反応なし）
症状：パソコンに接続してもパソコンで認識しない。
原因：USBケーブルを交換しても変化なし。内部のSATA-USB変換基板に検証用HDDを接続しても認識しないため、変換基板不具合と判断いたしました。
対応：分解後HDDの健康状態に異常がないことを確認。検証機材にてデータ抽出いたしました。
結果：お客様のご意向で「データバックアップI」にてご対応いたしました。データは無事で新品の外付けHDDをご購入いただきバックアップして納品いたしました。
ケース2：「フォーマットしますか？」のエラーメッセージ
症状：外付けHDDをパソコンに接続すると「フォーマットしますか？」とフォーマットを促される。
原因：HDDに不良セクタ（読み書き不能領域・物理障害）が発生し、健康状態（SMART情報）は確認できてもRAW状態になり、ドライブにアクセスできない状態になっていました。
対応：HDDのエラーを回避しながら複製を取り、検証用機材にてサルベージ処理を実施いたしました。
結果：「障害レベルII」判定となりました。破損ファイルが見られましたが、お客様ご希望のデータの9割ほど正常状態で復旧できました。新品の外付けHDDをお持ち込みいただきバックアップして納品いたしました。
※画像はイメージです。
ケース3：異音（カチカチ音）がする内蔵HDD
症状：パソコンを落として衝撃を加えてしまってから、「カチカチ」と一定の異音がし、BIOSでも認識されなくなった。
原因：内部読み取り装置（ヘッド）が物理損傷していました。
対応：高度なデータ復旧が可能な仙台駅東口店に委託。クリーンルーム内でヘッド交換などの処置を行うことでディスク内データにアクセス成功。その後サルベージ処理を実施いたしました。
結果：「障害レベルIII」判定となりました。写真・文書ファイルを中心に約9割以上のデータを正常状態で復旧できました。新品の外付けHDDをお持ち込みいただきバックアップして納品いたしました。
ケース4：Windowsが起動できなくなった「Intel Optaneメモリーテクノロジー」搭載機種
症状：パソコンが起動できなくなった。回復メニューが表示されるが、修復や初期化できない。/電源を入れるとすぐに英語のメッセージが表示されて起動しない。
原因：Optaneメモリーの劣化などによる記憶媒体構成不具合。/Secure Bootキーや起動領域破損による起動不具合。
※Optaneメモリー搭載機種は、機能有効にしていると仕様によりHDDのCドライブ領域がRAW状態となるため、ドライブ内データにアクセス不能となります。
対応：OptaneメモリーとHDDの複製を取り、専用ツールでそれぞれ全体をスキャンしサルベージ処理を実施いたしました。ハードディスク内に有効なデータを確認できました。
結果：ケースによってまちまちですが、この事例は「障害レベルI」判定となりました。パソコンの記憶媒体をSSD1台構成に変更、リフレッシュパック＋SSDにて修理後、復旧データをデスクトップにバックアップして納品いたしました。
ケース5：NAS（HDD1台モデル）の障害
症状：従業員で共有しているNASがエラーを表示し、フォルダ2階層以降へアクセス不能になってしまった。
原因：HDDに不良セクタ（読み書き不能領域・物理障害）が大量に生じており、データアクセスに時間がかかったり、正常に読み込みできない状態でした。
対応：HDDの複製を取り、復旧ツールにてサルベージ処理を行いました。
結果：「NAS HDD単機モデル＆障害レベルII」判定となりました。業務データをほぼ100％復旧できました。NASのバックアップ用に用意された外付けSSDに復旧データをバックアップし、納品いたしました。
復旧できなかった・復旧を断念されたケース
ケース1：落下によるプラッタ傷
症状：外付けハードディスクを使用中に倒してしまってから認識しなくなった。
原因：プラッタ表面の傷により磁気情報が破損。粉塵が舞い、ヘッド動作不能。
対応：クリーンルームで開封し目視確認。円周状にスクラッチキズが入っていることを確認。
結果：残念ながら「復旧不可」と判定されました。この状態になると恐らくどの復旧業者でも復旧はできないものと思われます。
ケース2：コネクタ破損
症状：デスクトップパソコンの内部清掃中にケーブルを引っかけてしまった。
原因：SATAケーブル接続端子破損
対応：基板修理の概算見積作成。
結果：基板交換の概算見積がご予算にあわず、復旧を断念。新品のハードディスクをご購入いただき交換対応いたしました。
ケース3：Fusion Driveトラブル
症状：OSが起動しない。電源がすぐに落ちて画面が暗くなる。
原因：SSDが故障して動作しなくなった。ハードディスクにもセクターエラーが発生してしまった。
対応：Fusion Drive構成を再構築できないため、HDD内から有効なデータをサルベージできず。SSDデータ復旧時の概算見積作成。
結果：SSDからのデータ復旧の概算見積がご予算にあわず、復旧を断念。
Fusion DriveとはiMac Late 2012～Late 2020や、Mac Mini 2012 2014で採用されていた記憶媒体の駆動方式です。
SSDとハードディスクをソフトウェアレベルで合体させ、ファイルの使用頻度によってSSDやHDDへリアルタイムで振り分ける仕組みです。
そのため、どちらか一方のドライブが物理・論理障害が発生してしまうとデータの取り出しが非常に困難となります。
HDDトラブルの傾向
・パソコンや外付けHDDを落下・転倒させてしまい、衝撃を加えてしまったケース。
・長期使用（5年以上）による消耗で不良セクターが多数発生してしまったケース。
・外付けHDDの制御基板故障や、USBからの電圧不安定による障害が発生してしまったケース。
・Windows Updateなど更新処理が正常に終了せず、OSが破損してしまい起動障害が発生してしまったケース。
データ復旧を成功させるポイント
・データにアクセスできないなど違和感を感じたら、使用を中止する。
使用を続けると症状が悪化し、復旧率が低下する恐れがあります。
・異常が生じたHDDは、電源ON/OFFを繰り返さない。
物理的な故障が生じている場合は、ダメージが広がる恐れがあります。
・分解したり基板を交換しない。
同じ型番のHDDでも、製造時期や制御プログラムのバージョンの違いがあり、更に動作するために必要な情報が異なるため、単純に部品交換では改善できません。
・データ消去やフォーマットしてしまった場合は電源を入れない。
パソコンは起動直後から記憶媒体に読み書きを行っています。上書きによるデータ復旧率を下げないために、電源は入れないことをおすすめいたします。
まとめ
HDDはとても繊細で、構造を理解すると非常に高度な技術で動作していることがわかります。HDDのデータ障害は、外見上の破損がなくても内部で物理的損傷が起きている場合が多く、通電を続けると状態が悪化することがあります。
少しでも異音や認識不良が見られた場合は、すぐに使用を停止し、状態を保ったままご相談いただけたらと思います。
今日のひとこと。「たまごは一つのカゴに盛るな」。
完全無欠な記憶媒体は存在しません。
故障や消失リスクに備えて、大切なデータは必ず2カ所以上の記憶媒体に複製を作成しましょう。
パソコンなどIT機器に関する問題や疑問点がございましたら、近くのパソコンドック24までお気軽にご相談ください。私たちは常にお客様のお困りごとに真摯に向き合い、最適な解決策を提供することを心がけています。
この記事がご覧いただいたみなさまのお役に立ちましたら幸いです。
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