WindowsやMac OSの初期化やリカバリーを意図せず(?)におこなってしまったというご相談を受けることがあります。
「初期状態に戻す」やリカバリー・OS再インストールをおこなうと、通常は全体のデータを消してOS自体を入れ直すのでデータやソフトウェアは消えることとなります。
しかし、データが消えることを意識していない場合はOSが起動してからデータがないことに気付くこととなります。
データの誤削除でゴミ箱からも消してしまった場合やフォーマットして全データを削除してしまった場合も、同様に「削除データ復旧」の扱いとなりす。
その場合に特に重要なのは以下の2点となります。
・データ復旧ソフトを復旧対象パソコンにインストールしないこと
・復旧対象パソコンの電源を入れないこと
もし、削除データの復旧をしたくて復旧対象のパソコンでこのページを読んでいるようでしたら、いったんパソコンをシャットダウンして別のパソコンやスマートフォンからの閲覧をお勧めします。
ここから細かく説明をしていきしょう。
初期化・削除時のデータ復旧は別のOS起動環境で復旧作業をおこなう
通常データ復旧は別のパソコンで起動させたOS環境で、取り出したHDD・SSDを接続しておこないます。
HDDにエラーが発生しているときなどは、セクター・バイ・セクターによる完全なコピーを取ってから復旧作業に入ります。
個人でデータ復旧を試みるときでHDDの取り出しが困難ならば、USBメモリーやDVDディスクによる外部起動をした環境下でおこないます。
その反対に復旧対象のパソコンを通常起動させての復旧作業はやってはいけないこととなります。
データ復旧ソフトを対象パソコンにインストールしない
個人で消えたデータの復旧作業をおこなうために「復旧ソフト」を購入して試す方がいらっしゃいますが、復旧対象のパソコンを起動させて「復旧ソフト」のインストールをして復旧を試したというのを時々耳にします。
「復旧ソフト」の注意書きには、「データ復旧対象のパソコンにはインストールしてはいけない」と必ず記載されています。
ソフトをインストールすると、HDDにソフトウェア自体のデータが書き込まれますが、ソフトウェア自体が復旧対象である削除済みデータに上書きされてしまう可能性があります。
上書きされると以前のデータは完全に消えて、復旧は出来なくなります。
それを防ぐために、「USBメモリーやDVDディスクによる外部起動の環境下での復旧作業」が必要となります。
復旧ソフトにはこういったときのための「緊急起動メディア」の作成機能が備わっています。
復旧対象以外のパソコンで「緊急起動メディア」を作成した上で、復旧対象のパソコンを「緊急起動メディア」で起動させてデータ復旧作業をしていかないとなりません。
復旧作業以外でもパソコンの電源を入れない
データの復旧を試す(依頼する)前の段階で一番大切なのは、「パソコンの電源を入れないこと」です。
Windowsに限らず、OSは起動するだけでもHDD・SSDにデータを書き込みます。
OSやソフトの動作上の一時的な保存データ(キャッシュファイル等)を書き込んで動作をしているため、電源を入れるだけで削除済みデータが完全に消えて復旧ができなくなる可能性があります。
復旧率を高くするためには、電源を入れずに復旧に取りかかるべきなのです。
データが削除される流れ
データを削除したときや、OSの初期化・パーティーションのフォーマットをしてしまった後の消去済みデータがどのように扱われるかを説明しましょう。
OS上でデータを削除するとファイルは消えたように見えますが、実際に記録されたデータは残っています。
OS上で見えないのは、目次に当たる情報が削除されているからです。
ファイル名と記録位置の管理情報が削除されアクセスが出来なくなりますが、記録された本体ファイルは残っている段階です。
この段階であれば、データ復旧率は高いと思われます。
しかし、OSからは削除済みデータの領域は白紙として扱われますので、その領域はデータ記録が可能な場所となっています。
同じ場所に新たなデータが記録されると以前にあったデータは完全に消えて読み出しが不可能となります。
OSが起動すると一時的なデータが記録されるため、データの上書きが起こります。
そのため、データ復旧をする場合は「パソコンの電源を入れないこと」が重要となります。
HDDのデータ削除
ファイルを削除した場合、上記のように目次に当たる部分が削除されます。
OS上ではファイルがないものとして扱われ、アクセスが出来なくなります。
HDDの場合データは磁気データで記録されていますが、目次情報の削除されても元ファイルの実データは消えていないので、実データを読み出すことが出来ればデータの復旧が可能となります。
では、この見えない実データはいつまで残っているのでしょうか。
答えは、「すぐに消えるかもしれないし、ずっと残っているかもしれない」となります。
HDD上に実データが残っていると言っても、OSからはデータがなく空いている場所として認識されています。
OSからは書き込み可能な場所として扱われるため、OSを起動させるだけでも削除後の実データが消える可能性が高くなります。
HDDの場合、データを新たに記録するときは、OSから空き領域として認識されている場所に削除済みデータがあるかどうかにかかわらずデータを書き込んでいきます。
データをHDDに書き込むときは、記録済みのデータがあったとしても消去することなく直接上書きで更新することが出来ます。
これは上書きすることにより、以前のデータが消えて新しいデータに置き換わることを意味しているのです。
ここで、先に書いた「一時的な保存データ(キャッシュファイル等)を書き込んで動作をしている」ことが問題となります。
電源を入れてOSを起動させるだけでも、データ復旧の可能性は低くなっていくのです。
SSDのデータ削除
ファイルを削除した場合、最初に目次にあたる部分が削除されるのは同じです。
しかし、HDDと違ってSSDはデータ記録方式の違いで削除済みとされる場所であっても、データを直接上書きすることが出来ません。
一旦残っているデータを完全に消してその場所を開放しないと新たなデータを書き込めません。
そのまま使用を継続すると「解放してから記録する」動作のため、SSDのスピードが生かせなくなります。
それを予防するために「TRIM」と呼ばれる機能があります。
Windowsの場合、Windows7以降にこのTRIM機能があり、自動で削除済み領域を開放(完全削除)して書き込み可能領域としていきます。
HDDの実データは上書きされるまでは残っていますが、SSDではOSを起動させて時間がたつと「TRIM機能」によって削除済みデータが完全に削除されて、復旧すること自体が出来なくなってしまいます。
そのため、やはりパソコン本体の電源を入れてOSを起動させてはいけないこととなります。
HDDに比べてSSDの方が削除済みデータの復旧が出来なくなる可能性は高くなるのです。
最後に繰り返しておきましょう。
・データ復旧ソフトを復旧対象パソコンにインストールしないこと
・復旧対象パソコンの電源を入れないこと
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