こんにちは。パソコンドック24 大阪・扇町店 です。
今回は大阪市北区のお客様より、パソコンの修理ではなく、OLYMPUS製のICレコーダー(VN-4100)の修理依頼です。
2006年に発売されたこのICレコーダーは、単4電池2本で駆動するモデルですが、長い間放置していた事により電池の液漏れ(水没)が発生し動かなくなったとのことでした。
お客様はデータが重要とのことでしたが、この機種は外部保存用のSDカードスロットもなく、PC接続するようなUSB端子もなく、本体を直接修理する以外の方法でデータを取り出すのは厳しい状況でした。
(他にも方法はありますが、専用の設備が必要になる為、費用がかなり高額になってしまいます)
それでは、早速本体を分解して、腐食箇所を洗浄していきましょう!
↑前面黒色のフロントパネルをとった状態
↑基板の裏側
局所的に青い部分(腐食)している形跡が見られますね。
(目だっているのは矢印の箇所ですが、細かいところまで見るともっと腐食していました。)
ひととおり基板を洗浄し、腐食箇所を極力取り除いた上で、一度組み付けてみます。
これですんなり起動してくれれば良いのですが…
電源を入れてみるも、液晶にエラーメッセージが出てそこから先に進まず、ボタン操作も当然受け付けません…。
残念ながら、どうやら洗浄だけでは機能回復しないようです。
ただし、エラーメッセージが出るということは、一応通電はされているようですね。
次に疑うところは、メイン基板自体か、NAND型フラッシュメモリ(以下NAND)あたりですかね。
簡単に言うとNANDはデータの保管庫なので、NANDが不良を起こしている=データが消失しているという事になります。
そうなるとデータを復旧出来る可能性は限りなく低くなってしまいます。
メイン基板自体の不良であれば、同機種を仕入れて、ドナーとして必要なパーツを移植すれば直る可能性はありますが、当機種の詳細な仕様や情報がどこにも出回っていない為、NANDを張り替えたところで正常に動作する保証もありません。
最悪の場合、逆にデータが破損してしまう可能性もあります。全く未知の領域の状態なので、作業する側としても非常に不安です。
お客様にこの旨を説明したところ、「男なら挑戦するしかないでしょう!!」と頼もしい回答をいただくことができました。
かなり男前なお客様ですね。
早速同機種を仕入れて、メイン基板のNANDを張り替えます。
肝心のNANDは液晶の裏側といううまくスペースを活用した設計ですね。
(黄色矢印で示したチップがNANDです。)
さて、ここから当店のはんだ修理マスターの出番です。
パソコンドック24のTOPページ動画にも出演している武田店長の手腕に期待します。
このNANDの取りはずし、簡単そうに見えて実はかなり高度な技術が必要です。
万が一、手元が狂って周辺のチップ部品がはずれたり、熱を加えすぎてしまったりするとNAND自体やメイン基板のパターンを壊してしまう可能性もあるので、かなり慎重に作業する必要があります。
難しい作業ですが、見事それもクリアし、張り替えた筐体でおそるおそる電源ON!!
無事、液晶に正常な画面が出力されました!(画像がなくてごめんなさい)
データも損傷なく取れており、当然ボタン操作も受け付けています。
お客様も大変喜んでおられました。
今回はパソコン以外の修理になりましたが、基本的に電子機器であれば、故障内容次第では修理することが可能かもしれません。
扇町店にて過去に実績あるものとしては、
タカラベルモント社のサロンポス、PlayStation3の本体およびデータ復旧、各種ワープロ、そして今回のICレコーダーetc.…
パソコンじゃないから受け付けてくれないのでは?というお悩みを持ったお客様も多いと思います。
状況によっては修理可能なこともございますので、まずはパソコンドック24にお気軽にご相談ください。
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