こんにちは、名古屋名東店 久保井です。
異常な暑さがあってもちゃんと涼しくなってくるってすごいことだな、と改めて思う今日この頃です。
ここ最近は天気も安定して過ごしやすい名古屋です。
さてこの度、Surface Pro 5(このモデルはProの後の数字は省略され「Surface Pro」となっています。
ブログの解説上Surface Pro5とさせていただきます)の修理を承りました。
オプションで専用のキーボードやペンなどもついてより使いやすくなっています。
そのSurfaceが「起動できなくなった、急ぎでデータがほしい」というご依頼でした。
実は、非常に難しい案件です。
Surface Proは先代のPro4まではストレージがSSDを使っています。
そのSSDだけを取り外して別のパソコンなりでデータを取り出すことが出来ていました。
しかし、このモデルよりSSDのパーツは廃止され、基板(マザーボード)に直接組み込まれています。
つまるところ、データを取り出すにはSSDを取り外せないため基板を修復していくしかない、ということになります。
そうなれば、時間はかかりますし、データの破損にもつながる恐れがあります。
そこでお持込いただいたSurface Pro5をじっくりと観察してみます。
すると、ロゴは出て起動しようとしてるのですが、起動時毎にWindows標準のプログレスバー(円形)が出ている途中で再起動が繰り返されます。
電源が落ちればひょっとしてと思い電源ボタンを長押ししたのですが電源が落ちません。
電源を落とす残る方法は「バッテリーをはずす」ほかなさそうです。
もちろん電源を落としても回復する保証はありません。
このモデルは発売してまだ日が浅いので、メーカーでは新品と交換が出来るとお客様が確認を取っていました。
しかし、「大事なのはデータなのでそれは出来ない。」と言う事でしたので、
・バッテリーをはずしてリセットしても起動する保証はない
・液晶をはずすときに破損が出る可能性がある
・基板修理になると時間はかかる
・分解するとメーカーの修理は出来なくなる
以上のことを綿密に話し合い、一縷の望みにかけて「それでもいいからバッテリーをはずしてみて下さい」と了解を得ましたので最優先のエクスプレスパックを利用して作業を開始します。
Surfaceの修理の最大の難関は最初にやってきます。
液晶はずしです。
しかも今回は再起動できたことを考えると傷つけることは出来ません。慎重に進めていきます。
まず、液晶裏にある傷つけやすい配線の場所にテープを張りその箇所を把握しておきます。
いろいろな方法がありますが今回は薄いカードを使って本体と液晶を分離していきます。あたためて粘着テープが外れやすくしています。
少し隙間が開いたら引っ付かないようにカードを差し込んでおきます。
テープを張ったところは特に慎重に
慌てず少しずつ進めていき、やっとのことで外れました。
見た目ではケーブルの破損も液晶の割れもなさそうです。
中身です。
特にバッテリー配線はなさそうですので、マザーボードを外せばバッテリーと分離できそうです。
金属板のカバーやヒートシンクやネジなどを外していきます。
この裏がバッテリーとの接点となっています。
この辺りは作業に集中しすぎて写真をとるのを忘れていました。
マザーボードを外してしばらく放置(放電作業です)
しばらくの後、元に戻して液晶を仮組みして電源を入れてみます。
緊張の一瞬でした。
ロゴが出てプログレスバーが回っています。次の瞬間・・
起動画面が出てきました。液晶の割れもありません。
思わずガッツポーズです。
この状態で最低必要なデータだけささっとUSBに移し、最重要事項のデータ確保となりました。
再度、組直しをして作業完了です。
今のところ起動も出来ていますが、使用していくなら今後どうなるか分かりませんのでマメにバックアップを取りながら使用してくださいと念を押し翌日のお返しとなりました。
今回は運がよかったです。
もし、バッテリーを外しても起動が出来なかったら、メーカー修理も出来ませんしデータも取り出せる可能性も低くなります。
修理屋らしくありませんが、まさに天国か地獄かでした。
しかしながら、いつもこの方法で改善されるわけではありません。
なによりお客様の覚悟があっての作業となりますのでご注意ください。
では、被害を最小限に抑えるには?
やはり、マメなバックアップしか方法はないでしょう。
先日の他店のブログにもありましたように、複数のUSBに分ける、クラウドにあげておくなど、自己の対策が必要不可欠です。
願わくば誰もがデータの紛失などなくなるよう思います。
PC修理 データの取り出しのご要望は?(修理に関する参考費用はこちら)
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