金沢市のお客様より富士通 LIFEBOOK SH90/T (FMVS90TWDC)を使用中に、キーボードの上から大量にジュースをこぼしてしまったということで水没診断および修理(分解・洗浄)依頼をいただきました。
お客様は水没後にすぐにバッテリーを外されたということでバッテリーを外した状態で持ち込まれました。被害を最低限にする賢明な判断だったと思います。
それでは背面から分解を開始します。まずは以下のネジを外してメモリカバーを外します。
光学ドライブを固定する以下のネジ(赤)を外して、固定用のロックを外します(黄色)。
光学ドライブを以下のようにスライドして外します。
バックパネルを固定するネジ7本を外します(赤)。光学ドライブの裏に隠れていたネジ2本も外します(黄)。
若干、爪がはまっていますが、比較的簡単にバックパネルを外すことができます。
画像ではわかりにくいですが、ハードディスクカバーの上や基板上にジュース(水滴)の痕跡が見つかりました。
大切なデータが保存されているということで、まずはデータの確保です。ハードディスクを外して、テスト・バックアップを行いました。ハードディスクには故障がなく無事データも確保することができて一安心です。
マザーボード以外にもI/Oパネルなど複数の基板で構成されていましたし、キーボードにかなり粘着の痕跡があったので、キーボードも含めて洗浄することにしました。液晶パネル上半身とキートップを分離します。ヒンジのネジを外し、液晶信号ケーブルや無線LANのアンテナケーブルなど外し、分離します。
次にスピーカーやボタン電池などを外します。
今度はキートップとマザーボードを分離する作業に入ります。
マザーボードに接続されている各種ケーブルを外します。
マザーボードを固定するネジ5本を外します。
CPUファンも外さないといけなかったので、CPUファンの固定用ネジ3本を外してからCPUファンも取り除きます。
ようやくマザーボードを外すことができました。
分離したキートップとマザーボードを洗浄し、十分に乾燥させます。以上を元に戻していき、仮の状態でくみ上げてテストすると、残念ながらキーボードの故障が判明しました(認識しないキーがあったり、変なキー入力があったり)。洗浄したことでキーボードの粘着は取れたのですが、大量のジュースをキーボードにかけた時点でキーボードが故障してしまったものと推測します。
お客様に確認したところ、キーボードの交換は不要ということでキーボードを外した状態で返却することになりました。ケーブルを外して、他と接触しないようにテープで固定しておきました。
元の状態に戻していき、お預かりしたバッテリーやバッテリーカバーも戻していきます。
キーボードは認識しないものの(USBキーボードで接続して利用)、OSは無事起動しまして、バッテリーも含めて他の動作は問題なかったです。
新型コロナウィルスの影響でテレワークやオンライン授業などが増え、自宅で長時間パソコンを操作するようになったせいか、水没修理の依頼が増えております。他にもノートパソコンの液晶パネル割れ、デスクトップパソコンの転倒による液晶パネル破損、古いパソコンの再生化など依頼が多いです。
水没や転倒した場合、最悪はデータが消失してしまう可能性もあります。悲劇が起こらないよう以下にご注意いただくことを推奨します。
・データはリアルタイムもしくは定期的にバックアップしておく(クラウド、外付けの記憶媒体など)。
・飲み物を置く際にはパソコンより低い位置に置く。
・大事なデータが入ったノートパソコンは持ち運ばない。必要があればキャリングケースに入れる。
・デスクトップパソコンは転倒防止用のケーブルを接続する。もしくはスタンドに重りを載せる。
などくれぐれもご注意ください。
PC修理 水こぼし・水没(修理に関する参考費用はこちら)
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