Lenovo 3000 J110 Small Desktop 7397A13をお預かりしました。2007年製のXPモデルのPCです。動作が遅いのをガマンして使っていたが、突然起動しなくなったとのことです。古い機種のため修理費用がかさむと思うが、安く直せるなら直してほしいとのことでした。修理だけで何万円もかかるなら新品に買い換えます。
電源ボタンを押しても電源のランプが一瞬光るだけで画面には何も表示されません。メーカーのロゴマークも表示されないので、マザーボードかメモリが故障している可能性があります。ファンの回る音が聞こえるので電源ユニットはたぶん大丈夫。
PC内部をきれいに清掃し、分解します。
マザーボードの(1000μF/6.3V)というコンデンサが全て膨らんでいるのが見えました。破裂しているものもあります。
普通の修理屋さんならここで「マザーボードの故障」と診断し、新品のマザーボードに交換するのが確実ですと提案するのですが、それでは「安く直せるものなら直してほしい」というお客様の要望に添うことはできません。当店のスタッフはハンダごてでマザーボードを直接補修する技術を持っていますので、安価なコンデンサを取り替えて対応することでお客様の了承を得ました。
これら10個のコンデンサは全て同じタイミングできっちり寿命を迎えますので、まとめて交換する必要があります。昔のパソコンは数年程度でコンデンサが寿命を迎えることはありませんでしたが、近年のパソコンは内部にこもる熱が高いため、特に放熱効率が弱いパソコンはコンデンサの寿命が短くなります。
電源ユニットは動作していますが、一応分解して、膨らんでいるコンデンサが他にもないか、チェックします。
念のためにHDDも検査します。HDDを取り外して別のPCにUSBケーブルで接続し、HDDの状態を検査する専用ツールで診断します。
診断の結果、今は、正常動作しているが、近い将来故障するかもしれないHDDの劣化が見つかりました。マザーボードを修理されるならPCの延命のためにHDDも新品に交換することをお勧めしました。
ということで、修理方針が定まりました。HDDとコンデンサーを交換します。ここからの作業は早いです。
今のOSの環境をそのまま新品HDDへクローンコピーをします。(左側が旧HDD)
もともと80GBしかなく余裕がありませんでしたが、一気に500GBに容量アップです。容量がアップすると一度に読み取れる情報量も増えますので、動作も格段に速くなります。
膨らんでいたコンデンサは全て取り外します。
信頼できる国産メーカーのコンデンサに交換しました。
仮組み状態で通電テスト。メーカーのロゴが出たので一安心。すぐに電源を切って、次のテストに進みます。
各パーツを組み込み、新品HDD(クローンコピー済)も換装し、ケーブル類も綺麗に束ねて、起動させてみます。
OSを立ち上げて、「遅い」とおっしゃていた状態を検証しましたが、物理的には問題は残っていません。
ウイルス対策ソフトが重複インストールされていたので、片方を削除し、OSの修復をしたら、サクサク動くようになりました。もしかすると新規購入時より軽く動作するようになっています。これだけ快適に動作すれば、お客様も喜んでいただけるでしょう。
マザーボードを新品に交換するよりもずいぶん安く修理することができました。おまけにHDDも予算内で新品になるし、動作も速くり、お客様から「安い!」とおっしゃっていただけて、感謝されました。この仕事をやっていて一番嬉しい瞬間です。
「このPC、買い換えようかな?」と思われたら一度ご相談下さい。使い慣れた環境のまま、愛着のあるPCをよみがえらせることができるかもしれません。
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