名古屋市西区からお越しのお客様より、「飲料をこぼしてしまい電源が入らなくなった」とご相談いただきました。
持ち込む前日の夜に飲料がかかってしまい、キーボードのいくつかが打てなくなったとのことです。
データバックアップをしている途中でフリーズし、強制終了後電源ボタンを押しても起動しなくなってしまったとお困りでした。
DELL Inspiron 15 5583 飲料による水濡れ
第8世代CPUが搭載されたWindows10ノートパソコンです。
前日の夜作業中にハーブティーをこぼしてしまい、急いでデータバックアップをしていたもののその後電源が入らなくなってしまいました。
飲料やスープなどの水分がパソコンにかかった場合、まずは以下を行いましょう。
- 電源を切る(入れない)
- バッテリーが本体外側に装着されている場合は外す
- ACアダプターを外す(差さない)
内部に水分が侵入している状態で電流が流れると、ショートして基板が焼けてしまう可能性があります。
今回は翌日に持ち込んでくださいましたが、3ヶ月や半年経ってからご相談いただくことがあります。
水没診断はスピード勝負です。可能な限り早く対処することが大切です。
分解:SSD・HDD
お預かり後すぐに診断に入ります。
裏面のネジを全て外し、光学ドライブを左方向へ引き抜きます。
開けた時点で飲料の香りがふわっと漂いました。
バッテリーコネクターを抜き、SSDのヒートシンクを外します。
ヒートシンクを外すと水分の混入がはっきり確認できました。
SSDのマウンターは濡れていたものの、SSDはギリギリ無事です。奇跡ですね。
今回は砂糖や牛乳が入っていないタイプの飲料でしたが、それらが入っている場合は内部で固まる可能性があります。
スピーカーを洗うことはできないので、水分を丁寧に拭い取ります。
SSD、HDD、バッテリーを外します。
SSD・HDDステータス:正常
SSDとHDDは両方とも正常で、読み書きテストも問題ありませんでした。
データが大切というお話ですので、事前に環境保全を行っています。
上下切り離し
液晶と本体を切り離します。
ヒンジ固定ネジと液晶ケーブル、Wi-Fiカードを外します。
片方のヒンジネジ受けが2個破損していました。
違和感を覚えたので液晶側も分解してみると、こちらも左右合わせて3個のネジ受けが破損していました。
分解:洗浄
メモリーとファンを外し、ケーブル類とネジを全て外します。
キーボード上に水分がかかったそうなので、基板を裏返して確認します。
水分がかかってから半日ほどですが、すでに錆が発生しています。
ノートパソコンの内部は狭く空気が通りづらいため、なかなか乾きません。
外部の水分を拭いても内部にはこうして残っている可能性が高いです。
他の部分に目視できる錆などはありませんでしたが、電源ボタンやUSB基板もすべて洗浄液につけて洗っていきます。
キーボードは効かない箇所があるというお話ですので、リベット止めで外すことはできませんがそちらも洗浄します。
ツールを使い錆を落とします。
仮組み・電源投入
洗浄後しっかり乾燥させ、仮組み後電源を投入します。
CMOSバッテリーを外していたことで少し時間はかかりましたが、電源が入り液晶にも出力されることを確認できました。
その状態でメモリーのチェックテストを行い、無事完走。
途中で電源が落ちたり出力が消えたりということはありませんでした。
キーボード入力確認
SSDを取り付けWindowsの起動が確認できたら、キーボード入力の確認です。
飲料がかかったあたりのキーは少し引っかかりがありますが、全てのキーを入力できました。
効かなくなっていたキーも復活し、一安心です。
ただしタッチパッドの左クリックは強めに押さないと効かなくなってしまいました。
タッチは機能することと、マウスを利用されるというお話でしたので今回は交換を見送りました。
ヒンジネジ受け補修
割れていたネジ受け部分を固定材で補修します。
当店では基本的に穴を開けずに補修するため、すっきりした見た目になります。
各種機能確認・返却
スピーカーやカメラなどが機能するか確認した上で清掃し、返却です。
今回は水没洗浄によって回復しましたが、可能性はだいたい五分五分といったところでしょうか。
キーボードに水分がかかると大抵の場合は交換が必要になるので、今回は復帰できて安心しました。
また、回復してもその後錆などによって不具合が再発したり、新たに発生する可能性があります。
それだけ電化製品は水分に弱いということですね。
水分がかからないことが第一ですが、もしかかってしまった場合は早急に処置するようにしましょう。
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