dynabook P1G8MPBL 充電器を差さないと電源が入らない

名古屋・庄内緑地公園店の修理事例

春日井市からお越しのお客様より、「ACアダプターを差さないと電源が入らない」とご相談いただきました。
充電器を差さない状態では電源が入りませんが、電源投入後アダプターの接続を外しても電源が落ちません。
こういった場合、基板のバッテリー認識に異常が生じている可能性があります。

dynabook P1-G8MP-BL G8/M　バッテリーのみでは電源が入らない

第10世代Core i7搭載の13.3インチ小型ノートパソコンです。
持ち運びに便利なため仕事でよく利用されていますが、ACアダプターを接続しないと電源が入らないため外での作業にお困りでした。
電源が入った状態でアダプターを抜いても電源が落ちることはありません。
設定アプリからバッテリーの状態を確認すると常時100％でバッテリーを認識していましたが、仕事で持ち運ぶことが多くバッテリーのみで使うことが多いそうです。
アダプター側は正常だったため、バッテリー異常もしくはバッテリー認識の異常を念頭に置いて診断していきます。

分解：バッテリー取り外し

裏面全てのネジを外します。

下部にある黒い四角のものがバッテリーです。
バッテリーを外した状態でメモリーのチェックテストを進め、異常検出がないことを確認しました。

SSDステータス：正常

メモリーチェックテスト後にOS起動させて確認したため温度が高いですが、ステータスは正常でした。

バッテリー認識設定リセット

バッテリーを差し直して電源を入れてみると、バッテリー充電残量が「0％」と表示されました。

しばらく充電したあと試してみると、ACアダプターなしでも起動を確認できました。
バッテリーのみでの使用も可能でしたので、マザーボード側のバッテリー認識不良だったようです。

再発防止

Windows10以降、スリープからの復帰失敗やバッテリー認識不良が多発しています。
電源が入らなくなった機種でバッテリーを外すと電源が入るようになる事例もあります。

参考記事：Surface Pro7 ロゴマークのみで電源が落ちる（パソコンドック24庄内緑地公園店オフィシャルサイト）

再発防止のため、電源設定を変更します。

コントロールパネルで「システムとセキュリティ」を選択します。
（ハードウェアとサウンドからでも同様の設定が可能です）

「電源オプション」を選択します」

左側にあるメニューの「電源ボタンの動作を選択する」をクリックします。

「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリックします。

「電源ボタンを押したときの動作」をスリープからシャットダウンへ変更し、「高速スタートアップを有効にする」を解除します。
その後「変更の保存」をクリックして保存します。

高速スタートアップはWindows8から採用されたもので、デフォルトでオンになっている設定です。
シャットタウン直前の状態をHDDやSSDに書き込んで深い眠りにつき、次回起動する際はそのデータから起動するものです。
起動が多少速くなるものの、前述のスリープ復帰失敗やバグの持ち越しなどデメリットがあります。

当店ではバッテリー関係の不具合や放電リセットによって電源が入るようになったものは上記の設定を行って返却しています。
初期化して再構築を行うメニューの場合も同様で、不具合を防ぐために必ず高速スタートアップを切っています。

起動やシャットダウンがそれまでより少し遅くなりますが、最近はSSD搭載パソコンが多いためそれほど気になりません。
更に毎回ゼロ状態から起動するため、バグの持ち越しがなくなり安心して使えます。

清掃・返却

清掃して元通りに組み戻します。

バッテリーについて

バッテリー関係の不具合を避けるには、以下の使い方が理想的です。

充電が100％になったらACアダプターを外し、充電量が少なくなってきたらACアダプターを接続する
スリープ状態にしない

今回のお客様はスリープ状態で使うことはなかったそうですが、「スリープ状態にすることが多い」「使わないときもアダプターを常時繋いでいる」という方は意外と多いです。

「スマートフォンに充電器を差したままにすると良くない」というのは耳にしたことがあると思います。
スマートフォンは小さなパソコンですので、同じくバッテリーで動くパソコンにも適用されるということです。

では「使うときだけアダプターを接続すればいいのでは？」と思われる方もいます。
ですがそうすると電源から供給される電力で動くので、「常時繋いでいる」のと変わりません。
結果的にバッテリーの劣化も早くなるので、持ち運びをされない場合はむしろバッテリーを外しておいた方がいいです。
とはいえ、充電や放電をせず放置状態だとそれもバッテリー劣化につながります。

バッテリーが故障するとそこで電力供給が止まり、電源が入らなくなるという症状もそれなりの頻度で目にします。
適度にバッテリーのみで使用し、適度にパソコンを使ってあげることが大切です。