修理事例をご覧いただき、ありがとうございます。
パソコンドック24 仙台駅東口店の相沢です。
今回は、ブザーのような変な音が鳴っているWestern Digital社製の3.5インチのハードディスク(以下、HDD)から、データ復旧する事例をご紹介します。
(型番:WD20EADS-55R6B0)
今までも何度かHDDから変な音がするデータ復旧をご紹介させていただきましたが、今回もそのシリーズです。
以前もご紹介したこちらの記事、
» 異音がするハードディスク(HDD)からデータを復旧
と見かけ上は同様の症状で無事復旧できたので、今回も同じような内容かと思われていましたが……一筋縄では行かない案件でした。
まずはHDD状態の再確認や初期診断です。
当店でお預かりした案件は全て専門知識のある技術者の元、状況の再確認と診断を行います。お客様からのヒヤリングはしっかり行うのですが、どうしても齟齬や誤解が生まれる可能性があり、またプロの目線で見ることで違う発見ができる可能性があるからです。
しかし今回のケースでは例外中の例外でした。
実はこのHDDは他店のパソコンドック24でお預かりしたHDDです。
仲介してくださった店舗・技術者も復旧に関して信頼でき、かなりしっかりした管理体制と専用機材を持っている方々でした。
しかし、ホコリ等の微細な異物の入らない精密機械を分解する専用の空間である『クリーンベンチ』や『クリーンブース』を持っていないため、当店へ依頼してくださった経緯です。
当店に送付される前に、詳しい状況を聞いた結果、
『物理的に故障している状態で間違いない』
と、判断できました。
物理的に壊れているHDDに対して通電し、無理矢理動かしてしまえば、悪化させてしまう可能性が当然考えられます。
車のエンジンから異音がしたら、エンジンを止めるのが普通で、無理にエンジンを掛けてアクセルを踏み込むようなことをしないのと同じです。
今回の件は、事前に情報と診断が揃っていたため、当店では通電させての診断はいたしませんでした。結果論ですが、この事前の診断と連携がなければ復旧は不可能だったかもしれません。
実際に、開封を行った所、予想に反し、パッと見て取れるような不具合がありませんでした。
以前の記事を参照していただきたいのですが、
» 異音がするハードディスク(HDD)からデータを復旧【ブーブーと言うブザー音】
で、ご紹介したように、ブザー音の場合は円盤(プラッタ)上にヘッドと呼ばれる読み取り部が吸着しているのが故障原因となる場合が多いです。
しかし、今回はそういったことはありませんでした。
上記の写真でもわかるようにヘッドはちゃんと円盤の外側に退避しています。
カメラの関係で画質は荒いですが、肉眼で見るとヘッドの先端になんとなく違和感があり、取り外してチェックしてみることにしました。
写真の黄色く囲われた部分を御覧ください。
なにやら針金のようなものがひしゃげて、ぐねぐね折り曲がっています。
1本2本曲がることはありますが、8本中6本も曲がっているのは珍しいです。
真横から見ると、こんな感じです。
この部品のこの箇所は、デリケートで僅かなホコリの混入ですら故障の原因となる円盤上のデータを直接読み書きするスライダーと呼ばれる部分です。
正常な部品と見比べて見ましょう。
この先端の黒い四角いものがスライダーです。
円盤状の磁気を読み取る部分ですが、円盤は非常に弱いため、円盤には接触せず、空気圧でわずかに浮き上がって読み取りを行います。
スライダーがこんな状態のヘッドでもし不用意に電源を入れていたら、円盤上に傷をつけてしまって、お客様の大切なデータが失われるところでした。
正確な初期診断が復旧の可否を分けたと言っても過言ではないと思います。
後は正常なヘッドをお客様のHDDに移植し、専用機材でデータを読み取ります。
実際には、こういった物理的な故障の場合、故障箇所の交換だけでなく、交換後のデータ取り出しにも苦労がついてまわるものなのですが、今回は割愛いたします。
今回もお客様に納得していただける復旧が出来ました。
パソコンドック24では今回のように連携して作業を行うこともあります。また、定期的に講習会を行うことで、お客様の信頼にお応えできるよう加盟店全体で技術を高めています。
街の修理屋さんの枠に甘んじることなく、全国的な強みを生かしてお客様に満足していただける高度なサービスを提供出るように努力しております。
もし、データの復旧やパソコンのトラブルでお困りのことがございましたら、お近くのパソコンドック24までご相談いただければ幸いでございます。
データ復旧
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